TCHとは?

 

 
 2010年、このホームページを立ち上げた際に、木野先生に書いていただいた文章を紹介します。

 「何もしていないとき人間の上下の歯は接触していません。くちびるを上下閉ざしていても上下の歯は触っていないのです。本来上下の歯は会話、食物の咀嚼、食物の嚥下という動作をするときに瞬間的に触るだけです。ですから接触時間を加えていって1日ためても20分以下です。

 ところが、何かの作業をしているとき、考え事をしているとき、テレビを見ているときなどに上下の歯を触らせたままにしている人がいます。たとえ強くかんでいなくとも、上下を軽く接触させただけで口を閉じる筋肉は働いてしまうのです。

 ですから、上下触らせていると、その間筋肉は働き続けてしまいます。接触時間が長時間になれば筋肉は疲労してきます。また口を閉じる筋肉が働くと、顎関節は押えつけられることになるため、長時間になると関節への血の巡りが悪くなり、丁度正座していて足がしびれたときと同じように、感覚が敏感になって痛みを感じやすくなってしまいます。

 この不必要な上下の歯の接触という癖(Tooth Contacting Habit (TCH)と名付けました)が多くの患者さんに見られたため、この癖の是正をしていただきました。すると,他の治療を何もしていないのに症状が消える方が多数いらっしゃったのです。つまりこのTCHが症状を作り出すうえでの大きな役割をになっているということが分かってきたのです。 」

 次に、齋藤先生の意見を紹介します。

 「現在でも、木野先生の提唱したTCHの定義について基本的な内容はかわっていません。しかし、歯をグッと噛み締めている習慣(クレンチィング)や夜間のはぎしり(ブラキシズム)は、上下の歯が触れているのに、TCHと別物かという疑問を持たれる人が多数おられました。

  TCH・クレンチィング・ブラキシズムという言葉も、最初は一部の研究者などが名付けたものでしょうが、広く知られるようになれば自ずと言葉の意味する内容が変わってきても不思議はありません。変化して大衆化したものこそ、実用になると考えています。

 私は、「歯科医院で取り組むTCHコントロール入門」(医歯薬出版刊)でも述べているように「TCHとは、1日のうち20分以上、上下の歯が触れること」と単純に考えています。すなわち、クレンチィングやブラキシズムであれ、20分以上触れていることは、触れていることの為害性は同じなので、TCHに含んでしまえばよいと考えています。

  こう考えてしまうことが、一般の人にとってシンプルで実用的です。

 
木野先生がTCHコントロール法として導入している「貼り紙を見たら脱力する」という方法で、TCHコントロールが出来るようになると、上下の歯が触れたら離すという反射が出来上がり、夜寝ていて歯が触れた時に「いけないことをした」と目覚めるようになることを多数の患者さんから聞いています。

 多くの場合、TCHがあっても自覚症状がありません。したがって、顎関節症・咬合違和感・かくれ顎関節症などの患者さんの治療開始時に、ご自分のTCHの存在に気付いてもらう必要があるのですが、この気付きを起こさせることが難問です。」

 ここで、TCHがあるかどうかを試してみましょう。

1. 上下の歯を軽く当てて(触れて)みて下さい。咬むのではありません、触れるだけです。

   試す前に「もう当たっているよ」という方は、TCHという癖があります。
   軽く当てた状態で、数分間違和感なく維持できるようでしたら、 TCHという癖があります。

2. 唇を軽く閉じてみてください。

   唇を閉じたら、自然と上下の歯も触れてしまうようでしたら、TCHがあります。

  いかがでしたか。TCHがあると言われてもピンとこないかと思います。ただ、TCHが大きな原因となって、顎関節や口腔内の様々なトラブルを引き起こさなければ、TCHはあっても構わないのです。(広報:渡邉)

 

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この会は、木野孔司准教授をリーダーとした東京医科歯科大学の顎関節治療部で研究・研修した歯科医師有志と齋藤博(サイトウ歯科)によって、TCHを社会に広める目的で、2010年に設立されました。過去6年の社会活動で、TCHが社会的に認知されるようになりました。木野先生が東京医科歯科大学を定年退職されたため、事務局の齋藤博(サイトウ歯科)が、この会を引き継ぎ、TCHを社会に広める活動を展開してゆきます。