■ご自分のTCHに気付く。このことが「100歳まで自分の歯を使う」ことに

 

 

 

TCHは、自分では気付かない癖

 まず、このホームページを立ち上げた際、木野孔司元東京医科歯科大学准教授に書いていただいた文章を紹介しておきます。

 「何もしていないとき人間の上下の歯は接触していません。くちびるを上下閉ざしていても上下の歯は触っていないのです。本来上下の歯は会話、食物の咀嚼、食物の嚥下という動作をするときに瞬間的に触るだけです。ですから接触時間を加えていって1日ためても20分以下です。
 ところが、何かの作業をしているとき、考え事をしているとき、テレビを見ているときなどに上下の歯を触らせたままにしている人がいます。たとえ強くかんでいなくとも、上下を軽く接触させただけで口を閉じる筋肉は働いてしまうのです。
  ですから、上下触らせていると、その間筋肉は働き続けてしまいます。接触時間が長時間になれば筋肉は疲労してきます。また口を閉じる筋肉が働くと、顎関節は押えつけられることになるため、長時間になると関節への血の巡りが悪くなり、丁度正座していて足がしびれたときと同じように、感覚が敏感になって痛みを感じやすくなってしまいます。
 この不必要な上下の歯の接触という癖(Tooth Contacting Habit (TCH)と名付けました)が、多くの顎関節症患者さんに見られたため、この癖の是正をしていただきました。すると,他の治療を何もしていないのに症状が消える方が多数いらっしゃったのです。つまりこのTCHが症状を作り出すうえでの大きな役割をになっているということが分かってきたのです。

 TCHとはどのようなものかは理解していただけたと思いますが、自分に関係あるのか否かについては、明確に理解できないと思います。そこで、次のようなことを試してみてください。

1. 上下の歯を軽く当てて(触れて)みて下さい。咬むのではありません、触れるだけです。

   試す前に「もう当たっているよ」という方は、TCHという癖があります。
   軽く当てた状態で、数分間違和感なく維持できるようでしたら、 TCHという癖があります。

2. 次に、唇を軽く閉じてみてください。

   唇を閉じたら、自然と上下の歯も触れてしまうようでしたら、TCHがあります。

  TCHがあると言われてもピンとこないと思います。上下の歯を当てていることは、多くの人にとって当たり前になっていますから、理解しにくいのも無理からぬことです。
 顎関節や口腔内の様々なトラブルを引き起こさない範囲のTCHであれば、TCHはあっても構いません。しかし、TCHという癖を持っている人が、大きな環境の変化が身の回りに起こったとき、TCHの長時間化が起こり、顎関節症などを発症し易くなります。重症化すると、日常生活に事欠く事態まで陥ります。したがって、現在何ら問題が起きていない人でも、TCHが長時間化してくると、大変な事が起きる可能性があるとだけは知っておいてください。

 

100歳まで自分の歯を使うためには、TCHの気付きは絶対条件です。

 

 自分の歯を生涯(100歳まで)使い続けることは、私たちの夢です。歯科医学も進歩して、虫歯は、Sugar(砂糖)摂取によって歯の表面に出来るPlaque(プラーク)が主原因であることや、歯周病は、歯と歯肉との境にある溝(浅い場合は歯肉溝、深くなると歯周ポケット)に溜まるプラークが主原因であることは数十年定説となっています。したがって、SugarとPlaqueコントロールは、自分の歯を生涯使い続けるための必須要件と言えます。

 私は開業40周年となります。「生涯自分の歯を使っていただく」を目標に掲げ、具体的には35年前から3ヶ月毎に来院していただき、歯周病管理を中心としたシステム、ペリオクリーニングを行ってきました。20年〜30年以上、3ヶ月毎に通い続けられた100人以上の患者さんの長期に亘る経過観察から、ペリオクリーニングによる歯周ポケットの管理とSugarとPlaqueコントロールだけで「生涯自分歯を使う」ことが出来るとはいえない部分がありました。それは、日常生活で、1本1本に掛かる力を考量に入れていなかったからです。

 イライラした時に苦虫を噛むと言いますが、その際、奥歯をギュッと噛み締めてギリギリと下顎を動かしています。このようなことを日常的に行っているようでは、どんなにSugar・Plaqueコントロールをシッカリ行っていても、歯周病は急速に進行し・歯の磨耗・破折も起こしてしまいます。自覚症状がないからといって、歯に必要以上の力を加えていることは、歯にとっては地獄以外の何ものでもありません。
  歯の耐久力を超えた使用方法を続ければ、歯・歯周組織は確実に壊れていきます。とても、100歳まで(生涯)自分の歯を使うことは夢物語になります。

 どの位硬いものまで食べても、歯や歯周組織に悪影響が起こらない具体的根拠はありません。また、どのくらい日常生活で歯に力が掛かっているかを精確に評価する方法もありません。しかし、ご自分のTCHに気付けるようになれば、歯を痛めないように、賢く使う方法を会得できるようになります。例えば、当院のペリオクリーニングの際に、奥歯がしみたり、グラツクと歯科医が診断した時に、再度TCHコントロールの再指導を行うことで、3ヵ月後の来院時には問題解決し、歯・歯周組織に悪影響を与え続けることを停止させることが可能です。 

 ご自分にどの程度のTCHがあるか気付かないことは、歯の耐久力を超えた力を掛けていて、歯・歯周組織が壊れ、歯を失うことに繋がる可能性があります。ぜひとも、自分のTCHの存在を意識できるようにして、生涯自分の歯を使えるようにしようではありませんか。

 近日中に、TCH・Sugar・Plaqueコントロールで、「100歳まで自分の歯を歯を使う」ことを現実にの展開の一環として、このホームページ上で相談窓口を作る予定です。

 

1日に 20分以上、上下の歯が触れていることが TCHです。

 

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この会は、木野孔司准教授をリーダーとした東京医科歯科大学の顎関節治療部で研究・研修した歯科医師有志と齋藤博(サイトウ歯科)によって、TCHを社会に広める目的で、2010年に設立されました。過去6年の社会活動で、TCHが社会的に認知されるようになりました。木野先生が東京医科歯科大学を定年退職されたため、事務局の齋藤博(サイトウ歯科)が、この会を引き継ぎ、TCHを社会に広める活動を展開してゆきます。