TCH是正咬合療法  (この記事は、毎週すこしづつ書き進めています)

TCHとは?

 1日に上下の歯が触れないと生活できない時間は、たった20分以内と考えられています。それは、食事・嚥下(ツバを呑む瞬間)・発音(日本語では、訓練で当たらなくても発音出来ると考えています)の時間です。それ以外の時間は、当たらなくても生活に支障はないと考えられています。1日に20分以上、上下の歯が触れていることをTCH(Tooth Contacting Habit)と言います。 顎関節や口腔内のトラブルに繋がらないTCHであれば問題にはなりませんが、トラブルがあったり、トラブルを予防する必要がある場合は、TCHコントロールを修得する必要があります。

 「歯界展望」11月号、12月号に連載特集として、「TCH是正咬合療法」が掲載されています。
  

 TCH是正咬合療法には、下記のような特徴があります。したがって、TCH是正咬合療法を導入する事で、診療出来る視野が広がります。サイトウ歯科では、この技術が、「100歳まで自分の歯を使う」という目標に欠かせないものになっています。

 TCH是正咬合療法に関連する内容を詳しく知っていただくために、医療関係の方については、「歯科医院で取り組むTCHコントロール入門」をお勧めします。この書籍は、「TCH是正咬合療法」という言葉が生まれる前に出版されました。したがって、「TCH是正咬合療法」という言葉は出てきませんが、「TCH是正咬合療法」の概念は把握できます。

 ここでは、一般の人向けの解説します。「TCH是正咬合療法」は、木野元東京医科歯科大学准教授とサイトウ歯科との共同でつくりあげた概念です。したがって、ここでは、実際にサイトウ歯科では「TCH是正咬合療法」をどのように導入しているのかについて紹介しておきます。
  あえて、このページを読もうと思われる方は、少なくともご自分の歯を大切にしたいと考えておられるはずです。ぜひとも、まず、「100歳まで自分の歯を残す4つの方法」(講談社)を熟読していただき、「これだけは知っておこう」というコラムだけは暗記して下さい。歯科の基本だけは頭に入れておかないと、マスコミなどの宣伝に乗り、結果として、歯の寿命を短くしてしまうことにもなりかねません。

 まず、サイトウ歯科(新宿駅南口)は自費診療のみで診療を行っています。必要があって多数歯をまとめて治療する必要があっても、現在の保険医療制度では不可能と聞いています。自費診療では、そうした規制がないため、口腔内全体を視野に入れた治療が可能となります。その代わり、歯科医の力量が試されることとなります。

 生涯自分の歯で、何不自由なく食べられることは、現代人の夢ですが、その夢が日常生活の改善で現実となる可能性が非常に高くなります。「TCH是正咬合療法」は、その夢を現実にするために開発したものです。

 「TCH是正咬合療法」は、虫歯・歯周病・顎関節に関わるトラブルという3大疾患の予防管理から構成されていますが、これら3大疾患は、お互いに絡み合っています。ここでは、最新知識の顎関節に関わる事項に重点をおいているため、虫歯・歯周病に関しては、「100歳まで自分の歯を残す4つの方法」の「第4章 砂糖を極力とらない」「第5章 1日1回正しい歯みがきをする」「第6章 3ヶ月に1回歯周病管理のために歯科医院に通う」をお読みく下さい。
 
  ただ一つ付け加えておきたいことは、当院の「ペリオクリーニング」35年の経験(後述)から、40歳で、1本も歯を失わず、歯周ポケットの深さが3〜4mm以内という条件に該当する人であれば、100歳まで自分の歯で生活することは夢ではありません。ぜひとも、歯を失わないことを前提とした人生に挑戦してください。

 未知の部分が多かった顎関節に関わるトラブルについては、10年以上に亘り顎関節症専門医の木野孔司元東京医科歯科大学准教授と共同で、実際の事例での問題解決や予防対策を行ってきました。

  顎関節の複雑さを簡単に述べておきます。下顎を動かす軸になるのが顎関節です。顎関節という軸は、ドアの蝶番のように固定されているのではなく、軸自体が動きます。しかも、多くの人が、軸を支える部分のクッションのような存在である関節円板がずれています。また、持ち主の生活習慣で、下顎を動かす咀嚼筋の筋力の左右バランスが簡単に崩れます。
  こうしたことを一元管理することは大変難しいことですが、上手く管理できないと、顎関節症・虫歯の発生や歯周病の進行を早めることに繋がります。
  幸いなことに、木野先生たちの研究グループが、TCHという癖の是正で顎関節症の症状が改善する結果を得ていました。このTCH是正を日常臨床に導入することで、様々な問題点が改善されたため、「TCH是正咬合療法」が誕生することとなりました。

 当院では、「TCH是正咬合療法」をどのように導入しているかを解説します。 

1日目:紹介の患者さん以外に、「100歳まで自分の歯を残す4つの方法」を読まれた患者さん、顎関節症で悩まれている患者さんの医療相談(有料)を引き受けています。問診表記入とパノラマX線写真を撮り、必要なアドバイスをしています。自費診療の当院に通院することが最良の解決策と思われる患者さんだけについては、次の段階に進むことをお勧めしています。

2日目:必要な検査。
  検査項目は、口腔内写真・口腔内模型・デンタルフィルム・顎関節診査・顎関節4分割X線写真・金属アレルギー検査・問診表・質問表・歯周組織検査・CTX線写真が中心となります。

 ここでは、他の歯科医院では行っていないと思われる特別な検査だけを紹介しておきます。

 顎関節症でない患者さんでも顎関節診査を受けていただきます。顎関節症になっていなくても、生涯自分の歯を使うためには、TCHの程度を知り、TCHリスク判定を行う必要があります。当然のことながら、顎関節症の人も対象としており、顎関節症治療も視野に入れた診査です。

 問診表・質問表では、現在の全身状態だけでなく、心理テストも行っています。生活習慣病と考えられている口腔内の3大疾患は、患者さんの性格などで大きく左右されます。

 金属アレルギーは誰にでも起こる可能性があります。場合によっては、アレルギーを引き起こす金属元素の含まれた詰め物や冠せ物をすべて除去することも必要になります。サイトウ歯科で使用する金属に含まれている金属元素について、予めテストして、将来除去する可能性を最小限にする方針を採用しています。100歳までの人生を視野に入れた場合、このようなことも必須事項になります。

3日目:前回受けていただいた検査結果に基づいた治療方針・治療費用・治療期間などの説明。

 口腔内の三大疾患(虫歯・歯周病・顎関節症)は、生活習慣病です。したがって、1度治癒すれば、もう大丈夫ということではなく、その後の生活習慣で決まります。

  1番わかり易い例としてインプラントを取り上げてみましょう。当院では、抜歯することが殆どないため、インプラント治療は珍しいことです。しかし、歯を失って来院された患者さんの最良処置がインプラントと診断した場合には、インプラント処置を行っています。
  インプラントは、適切な管理が出来ないと、歯周病に罹患し、自分の歯よりも簡単に抜けてしまいます。インプラントが最新治療で画期的な治療法と考えられた時代、大切な退職金を注ぎ込んでまでインプラントをし、「もうこれで一生歯で悩むことはない」と思いこまれた患者さんが大勢おられたように聞いています。インプラントは一生ものではありません。適切な管理が出来ないと、自分の歯よりも簡単に抜け落ちてしまいます。

 当院では、開業以来40年間に蓄積した知識を基に治療方針たてています。一番有益な知識は、当院が考案した「ペリオクリーニング」という特殊技術から得られたフィールド・データです。こうした生きたデータは、本を読んだだけではダメで、数十年の歳月を掛けて、ようやく手に入れることが出来ます。
 
100人以上の会員が、10年、20年場合によっては30年以上、休むことなく3ヶ月毎に「ペリオクリーニング」を受け続けていただいた結果から、私の行なった歯科治療の予後や患者さんの環境の変化がどのように口腔内の健康に影響を及ぼしたか、歯周ポケットの深さがどのくらいまでだったら歯を抜かずに使用可能かなどといったデータが得らました。 
 こうして得られたデータの下に、誰でもが望むところの「自分の歯を生涯使用していただくこと」を目標にした治療方針を立てます。
  余談になりますが、「自分の歯を生涯使用していただくこと」に逆効果と思われる治療は、今話題の治療であろうとも導入しません。例えば、大切な歯を痛めてしまう可能性がある「歯を白くすること」や、歯の根を薄く削ってしまう顕微鏡による根管治療などです。今話題の治療には飛びつかない方が賢明です。歯はお試しが効かない一点物です。

 ここで、 最新の顕微鏡治療の何がいけないのかと疑問を持たれる患者さんがおられるでしょうから、説明しておきます。抜歯にいたる歯の多くは、歯を支える骨を失った歯周病の歯と歯の根の部分が破折した歯です。
  顕微鏡で、歯根の先の細い根管まで見るために、途中の部分を大きく削って見えるようにします。途中の部分の歯根の太さは、大臼歯部では2〜3mmであり、しかも、多くの場合、歯根は湾曲しています。この部分を、直視するために削り薄くなると、その後数十年使用していく間にヒビが入る可能性があります。ここで、ヒビ=破折です。大切な歯を生涯使用するには問題と考えています。

 顎関節の診査結果から、TCHリスク分類をします。顎関節症は多因子疾患であり、TCHコントロールで管理可能と分かっていますから、この技術を、自分の歯を生涯使用することにも導入し、顎関節症ではない患者さんも対象とした指導計画を立てます。
  TCHという癖のないTCHリスク1の患者さんに、TCH指導をしてしまうと、逆に意識しすぎてTCHが発現してしまう可能性が大であるため、TCHリスク分類をして、TCHリスク3aとTCHリスク3bだけを指導対象としています。
  上下の歯が触れないと日常生活に支障の起こる時間は、1日にたった20分ほどです。TCHリスク3a,3bの患者さんが、TCHを是正して、20分に限りなく近くする事で、顎関節症の治療・予防ばかりでなく、虫歯・歯周病の予防・肩こり・頭痛の減少という効果が望め、100歳まで自分の歯を使うための必須事項です。(書き足し予定です)

4日目〜:TCH是正咬合療法の開始
 TCHリスク3a,TCHリスク3bと診断された患者さんについては、TCHコントロールを行います。マウスピースは、逆効果なので使用しません。ここで、顎関節のトラブルを解消したり、TCHによる口腔内トラブルが予防出来る事を習慣化させるレベルになるまでTCHコントロールを行います。
  この段階になっていれば、患者さんを座らせた治療イスを寝かしたり、起こしたりしても、上下の歯をかみ合わせる位置がほぼ一定となり、治療のため長時開口していても苦痛になる事はなく、しかも口を大きくあけていられるので、術者も治療に専念できます。

 TCH是正咬合療法の最大特徴は、歯科治療によって、かみ合わせがわからなくなることや治療した歯が気になるというという症状を起こさせないようにする事です。こうした症状があると、咬合違和感が出現し、日常生活に支障の出る顎関節症になることがあります。

 こうした問題の解決策は、患者さんが治療イスから降りる時に、治療部位を元あったように復旧させることです。下水管工事を行った場合、道路の穴を埋め戻しておかないと、車が安全に通過できません。それと同様に、咬合違和感が起こらない範囲で復旧させておく必要があります。この作業は、時間が掛かり、特殊技能を必要としますが、この作業をしてもらえる歯科医院で治療を受けることをお勧めします。万一、咬合違和感が発症してしまうと、患者さんは大変な悩みを抱えることとなります。
  これを防ぐ簡単な方法は、現在問題なく使用している歯の形態をコピーすることです。上手くコピー出来れば、違和感が生じません。当院では、木野元東京医科歯科大学准教授が顎関節症治療し終えた患者さんの歯科治療を引き受けてきました。こうした患者さんは。口腔内が過敏化しているため、僅かな変化に反応してしまいます。こうした患者さんの歯科治療を確実に問題なく終えるためには、問題の起きていない既存の形態をコピーすることという結論に至りました。この理論は、歯科の専門書にも書かれていない、新しい概念です。学問的に何であれ、悩む患者さんを救うのが医療の原点です。

 コピーすることは容易いではありません。口腔内の僅かな変化を認識できる歯科医が手作りする必要があります。味噌は、製作した仮歯を入れた時と、入れtない時とで、かみ合わせが違わないようにする事です。仮歯を接着してからでは、噛み合わせ位置が僅かに狂うため、咬合調整しても元に戻りません。
  顎関節症治療を担当するようになってから解ったことですが、歯科治療後には必ず仮歯を入れなければいけません。かみ合わせ位置が狂っていない仮歯を製作し、装着するためには、歯を削る時間以上に掛かりますが、必須事項です。仮歯なしで日常生活させてしまうと、左右の咀嚼筋のバランスが狂い、以前と同じ位置で咬めなくなったり、削った歯やその隣在歯が移動してしまいます。(この続きは、近日中にupします)

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詳しい説明と購入法
 

 

 

 

 

 

 

 

この会は、木野孔司准教授をリーダーとした東京医科歯科大学の顎関節治療部で研究・研修した歯科医師有志と齋藤博(サイトウ歯科)によって、TCHを社会に広める目的で、2010年に設立されました。過去6年の社会活動で、TCHが社会的に認知されるようになりました。木野先生が東京医科歯科大学を定年退職されたため、事務局の齋藤博(サイトウ歯科)が、この会を引き継ぎ、TCHを社会に広める活動を展開してゆきます。